白い月〜destiny〜
雨はだんだん粒の大きさを増してきた。

「傘…持ってくれば良かったね。」

美月がポツリと言った。

「天気予報で言ってたの。夕方から雨でしょうって。でも朝はきれいな青空だったから。」

「うん。そうだったね。」

「お母さん…千鶴先生が言った通りだった。私 ちょっとは期待してたの。でも…私を抱きしめてはくれなかった!」

美月は悲痛な声をあげると その場に崩れ落ちて泣き出した。

「美月!」

僕は美月を力任せに抱きしめた。

美月の心がバラバラに砕け散るのを防ぐように。


12月の雨は冷たく 僕達の上に降り続けた。

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