白い月〜destiny〜
それでも…僕の怒りを感じた美月は言った。

「でも…私にはみんながいるから。優がいるから。寂しくないよ。お母さんは…ずっと一人ぼっちだったから。きっとお母さんのほうが孤独なんだと思う。」

「こんなに美月を傷つけたお母さんを恨んでないの?」


美月はちょっと考えているようだった。

「…恨んではいないかな。お母さんは私を嫌いみたいだけど。でもね。お母さんがいなければ 今私はここにいなかった。優に出会えなかったでしょ。」

「それはそうだけど。」

「生まれてこなければ優に出会えなかった。それだけでも感謝することにしたの。」

「…。」

「優がいたからそう思えるんだよ。もし優がいなかったら 私はお母さんを許せなかったと思う。お母さんを嫌いになってたと思う。だから…優。ありがとう。」


たった今 憎しみで支配されそうだった僕の心は 美月への愛しさでいっぱいになった。

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