白い月〜destiny〜
教会に戻ると美月はペコンと頭を下げた。

「みなさん。ご心配をおかけしました!」

みんなは口々に言った。

「お帰り!美月!」

「…にしても…なんだよその格好は!ずぶ濡れじゃないか!」

僕と美月は顔を見合わせて笑った。

「だって。傘を持ってなかったから。」

ハァー…と宮川が溜め息をつく。

「傘ねぇ…。」

千鶴先生が言った。

「まあまあ!そんな格好じゃ風邪ひくわよ!お風呂沸かしたから入ってらっしゃい。」


僕達は体の芯から冷え切っていたので 千鶴先生の心遣いがありがたかった。

「美月。先に行っておいでよ。」

「うん。じゃあそうするね。」

美月はタオルを受け取ると笑顔を残して 浴室のある方へと入って行った。

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