白い月〜destiny〜
「今ね。夢を見たんだ。僕の死んだ両親の夢だよ。今まで何度も見てるけど 僕はいつも恨み言ばかりぶつけてきた。」

美月は僕の横で黙って聞いている。

「二人とも なんで僕をおいて死んだんだ そのせいで僕は一人ぼっちだ。父さんと母さんのせいで僕はこんなに辛い思いをしてるんだ ってね。」

「優…。」

美月は僕の右手を両手で包んだ。

「僕は…僕を一人ぼっちにした両親を許せなかったんだ。」


目から一筋の涙がこぼれた。

誰かの前でこんな話をすることも 涙を流すことも 今までなかったのに。

「おかしいよね。もう29にもなる大の男がさ。」

「いいえ」と首を振って 美月は僕の涙を指ですくいとった。

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