白い月〜destiny〜
「たしかにね。今まで僕達が生きてきた中で 何か一つでも違うものを選んでいたなら 僕達の今はなかったかもしれないね。」

私には優が何を言おうとしているのかわかった気がした。

「赤ん坊の美月が教会にこなければ…子供を産んだ美月が悲しい決断をしなければ…今の美月はいなかった。」


優は静かに言った。


「僕が美月を愛してるってことは…美月の生きてきた道も愛してるってことだとよ。」


私の生きてきた道。

優はそのすべてを受け入れてくれるんだ。


私は真っ直ぐ前を向いて流れ去る街路樹を見ていた。

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