白い月〜destiny〜
美月の手を掴んだまま 何も言わずにどんどん歩いていく僕に 美月は困惑していた。


「優?…優ってば!」


僕はちょっとだけ速度を緩めた。

「美月の病院って大きいんだね。」

僕がやっと言葉を発した事に安心したのか 美月は僕の腕に抱きついてきた。

「総合病院だからね。でも…まさか優が迎えにきてくれるなんて。すごくびっくりしたけど嬉しかった!」

声を弾ませる美月に 僕は言った。

「本当に嬉しかったの?」

「うん。嬉しかったよ。」


「僕が迎えに来なきゃ良かったって思ってるんじゃないの?」

「えっ?なんでそんな事…。」


「さっきの…あの医者と仲良さそうだったからさ。邪魔したかと思って。」

「そんな…。」
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