白い月〜destiny〜
外のタクシー乗り場は案の定 長い列ができていた。
私は自動販売機で缶コーヒーを二本買うと列の一番後ろに並んだ。
向かい合うような形で缶コーヒーの一本を手渡した時 私はようやくその人をまじまじと見ることができた。
少し長めの黒い髪。スーツにノーネクタイ。その涼しげな端正な顔立ちに眼鏡をかけて真面目そうな印象を受ける。
タクシーを待つ間の30分程度 私達は無言だった。
どうにか順番がきて再度お礼を言った後 私達は別々のタクシーに乗り込んで別れた。