ハツカレ ノ カオリ


…ブルルルル…プルルルル…

呼び出し中を告げる電子音。

回数が増える度に、何故か私の鼓動も早くなる。



やっぱりバイト中なのかな。

それとも…
お取り込み中?


あと3回。
3回コールしたら切ろう。



1回

2回…

3………



切ろうとした時、呼び出し音が途切れる。


私は慌てて、喋りだす。



「あっ高島君?
さっき電話とかありがとう。あの…えっとぉ……。」



『ただいま電話に出る事が出来ません。
御用の方はメッセッージをどうぞ。』



プチ。



私は慌てて電話を切る。


留守電。


びっくりした。



「何1人で喋ってるんだろう…。」



そう思うと頬に涙がつたう。
なんだか虚しくって泣けて来た。



「うぅっ…。」



堪えながらも耐えられずに、泣きながら私のネガティブ妄想は広がるばかり。




ねぇ高島君


私は今


なんだか不安で仕方ないよ。

高島君が遠く感じて仕方ない。


ただただ


苦しいよ。





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