ハツカレ ノ カオリ
キセキ
朝
気がつくと
いつもより、
身支度に時間がかかっていた。
いつもと違うリップ
いつもより丁寧に塗ったアイシャドウ…
「いつもと違う。」
なぉがそう言って
私の顔をじぃ~っと見る。
駅の改札口。
毎朝、逆方向から来るなぉと待ち合わせている。
「実莉、メイクかえた?」
「そ、そんなことないょ?」
おはょうより先に出た、なぉの第一声に驚いて私は戸惑った。
ごまかすように歩き出す。
「いぃ~や、昨日までの実莉とは違うなぁ…。
さては、きのーいい感じだったなぁっ!?」
ニンマリ顔で近付いてきて、私の反応を伺っている。
「そんなことないょ?」
とぼける私。
でもなぉの質問は続く。