乙女の期限 ~恋、してますか~
「年寄りには関係ないことやけどなぁ」
稔さんのちょっと寂しげな横顔を見つめた。
隣を歩くってこんなに嬉しいんや。
歩幅を私に合わせてくれてるんやろうか。
ゆっくりゆっくり歩いてくれる。
「稔さん、実は・・・この歳で、チョコレート作ってみたんです。良かったら食べてくれませんか?」
鞄から紙袋を取り出し、遠慮がちに差し出した。
鳩が豆鉄砲食らったみたいな稔さんの顔。
「くれんの?チョコレートを?これ、バレンタインの?」
「あ・・・はい。さっきの孫と2人で手作りしたんです。美味しいかわからへんのですけど、良かったらどうぞ」
花ちゃんの言葉を思い出して、少し不安になった。
稔さん喜んでくれるんかなぁ。
でも、稔さんは想像以上の反応をしてくれた。