【企】ひびき
・・・そして朝。
今日は軽く早起きして何だか遊園地にでも行くのかと思うくらいはりきっていた。
「じゃ、行ってきまーす!」
そう言っていつもより15分早く家を出た。
ホントはもっと早くに、行く準備は終わっていたけど、あんまり早すぎると変に思われるかな・・・と思ってこれくらいにしておいた。
・・・まぁ、そんなことどうでもいいってくらい、あたしは浮かれていたけど。
なんてったって、その人と初めてしゃべるんだ。
ちょっとくらい大げさでも、それくらいあたしにとってはすごいことなんだから。
乗り換え3回や、バス停までの徒歩も、いつも以上にラクに感じられた。
・・・そしてバス停に到着した。
案の定その人はもう来ていて、マフラーを返すことはいつだって出来るんだけど、いざとなるとどうしても声が出ない。
・・・でも、この機会を逃すともしかしたらもう2度とその人と話すことは出来なくなるかもしれない。
・・・よし!覚悟決めた。
渡すぞ!とあたしが思った瞬間、あたしのではないケータイの着メロが鳴った。
「あー、もしもし?」
ちょっとケータイに敵対心を燃やしたけど、初めて聴くその人の声にかなりテンションが上がっていた。
あ、この着メロあたしも知ってる。今度ダウンロードしよ・・・と思ったときだった。