【企】ひびき

「は?何、バスの時刻表見とけって?んなの自分で見りゃいいだろうが!」


 ・・・どうしたんだろ。

 口調が荒い・・・ってことは、友達とかからかな。


「ったく、明日の8時台のバス?あぁ17本あるわ。あとは自分で見ろ。」


 ふ、テキト-すぎ。

 その時ちょうどバスが来た。


「じゃぁ俺バス来たから切るわ。ちゃんと時刻表調べとけよ、実花。」



 ・・・え?


 ミカって・・・確かに今言ったよね・・・?



 ・・・あー、そっかそっか。

 あたし、すごい勘違いしてた。


 確かに行ってんのは男子校だけど、彼女がいないなんてことは無いわけで。

 ましてや、ただバスを待ってるだけで惚れられるような男の人だもん、他の女が放っておくわけないか。


 気付けばあたしが乗るバスも来て、プシューとドアが開く。

 変なの・・・。

 ホントは乗りたくなんてないのに、足が勝手に動く。

 座りたくなんてないのに、あたしがいつも座ってる場所に腰が下りる。


 泣きたくなんてないのに・・・涙が勝手に頬を伝う。



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