【企】ひびき
女の人といっても、年はあたしとあまり変わらなさそうで、見るからにギャル系の女の子だ。
そして、男の人も口ではそう言っているけども、まんざらでもなさそうで・・・。
「やっぱ寒~、コレ借りるねっ。」
「は?俺だって寒いっつーの!」
・・・やだ。
だんだん吐き気がしてきた。
カバンを持つ手が震えてるのが自分でも分かる。
早く・・・早くバス来てよっ・・・!
「あ、もうすぐバス来るんじゃない?」
「・・・や、雪積もってるから来るの遅れると思うけど。」
うそ・・・。
じゃぁ、まだこの2人が一緒にいるトコを見なきゃいけないわけ!?
・・・聞こえるわけないのに、ズキッ、ズキッと心臓から鈍い音がする。
あぁ・・・あたしやっぱりまだその人のことが好きなんだ・・・。
その時、プシューッとドアが開く音がした。
顔を上げると、その人と女の子がバスに乗り込もうとしている所だった。
「あっ・・・。」
もうダメだ!
あたしはたまらなくなって、その人に向かって
「待ってください!」
と叫んでしまった。