【企】ひびき
ブツブツ言いながら最後尾に並ぶと、前の方にあたしと同い年くらいの男子高校生がいるのに気付いた。
暑そうなのに、制服を着崩したりしないで、ただひたすら文庫本を読んでいた。
タイトルは・・・み、見えない・・・。
背ぇ高いな~、180あるかないかかな。
顔は・・・まぁ一般より良いくらい。
なんて頭の中で考えていたら、急にプシューという音がして、列がイッキに進み始めた。
「うぁっっ・・・。」
押されながらバスに入ると、何とバスの行き先が違っていた。
「やっ、すいませんっ違いましたっ!!」
慌ててバスから降り、チラッと上を見るとさっきの男の人が頬杖をついて座っているのが見えた。
賢そうだったなぁ・・・高校どこだろ・・・。
そんなことを考えている暇もなく、またプシューとドアが開く音がして急いでバスに乗った。
そして座席に座る頃には、さっきの人のことなど忘れていて、代わりに今日の夜ご飯について考えていた。