君だけに夢をもう一度
「正和君、起きてる? 」
彼氏が優しく声をかけた。

「いつまで寝ているの! もうお昼過ぎよ!!」
彼氏の後に姉が現れて大きな声を出した。

正和は、眠い表情で起きた。

「こんにちわ・・・・・・」
と、正和は彼氏に挨拶をした後、大きなあくびをした。

「正和!彼に失礼でしょう!! だらしないんだから」
姉は、彼氏の前であくびをしたことが許せなかった。

「まぁ、いいじゃないか」
彼氏は、笑顔で姉をなだめた。

姉と彼氏は、両親も公認の恋人同士だった。
そのため、彼氏もよく家に出入りしている。

彼氏は、短大二年生の姉より五つ年上で社会人だった。
正和からみれば大人の男である。

「どうしたの・・・・・・?」
彼氏は、姉の部屋を訪ねることがあっても、正和の部屋に来ることは一度もなかった。
正和は、不思議そうに尋ねた。

「正和君。お姉さんと、サザンのコンサートに行く気はないかな?」

彼氏が、海の中道海浜公園広場で開催される、サザンオールスターズのコンサートチケットを手にして尋ねた。



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