君だけに夢をもう一度
翌日から、正和は受験勉強を始めた。
竹中と一緒の高校を受験することを決めたからだ。
竹中は、地元の商業高校に進学するため受験勉強をしている。

なぜ、商業高校なのかと、正和は不思議と尋ねた。
竹中は、女子生徒が多いからだと説明した。

男子生徒が少ないと、女子生徒から、それだけでも注目される。
でも、普通ではダメであり、やはり、何か魅力をつけなければならない。

スポーツがダメな竹中にとっては、バンドこそが女性を魅了する手段だと答えた。

その後も、竹中は、女性はムードのある音楽に弱いとか、ロックンロールが好きだとか、いろいろ語っていた。
だが、要するに彼女が欲しいということだった。
男子生徒より女子生徒が多いと、自分にも彼女ができる確率が高いため受験するらしい。
実に単純で思春期の男が考えることだと思った。

しかし、正和はそのことに共感した。
サザンのように、格好良く、泣かせる音楽ができて、女性にモテる。
そのことに悪い気はしない。

そのため、正和は、竹中と一緒に商業高校に行くことを決めた。


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