君だけに夢をもう一度
高校に入学して、正和は竹中と一緒に軽音楽部に入部した。
そして、バンドを組んだ。

正和がボーカルで、竹中がギター、その他にベース、ドラム、キーボードと、メンバーは五人で結成された。
すべて男性である。

やがて、竹中が言ったとおり、バンドをやり始めると、正和は女性からモテるようになった。

正和は身長が高く、刈り上げ姿でスポーツマンタイプのように見える。
その姿が、さわやかな青年の雰囲気を漂わせる。

バンドで歌ったりすると、格好良く見えるのか、正和のことをファンだという女子生徒が何人もいた。
そして、不思議ではあるが、女子生徒の方から声をかけてくる。
こんなことは、今までにはない経験だった。

アマチャバンドのコンサートに出演したりすると、他校の女子生徒からも告白されたりすることもあった。
そんなこともあり、すぐに彼女ができた。

正和の高校生活は、実に楽しいひとときだった。

高校三年生になって、将来のことを考えなければならない時期になる。
進学か、就職かを決めなければならない。
正和は、できるならば音楽の道で生きてみたいという希望があった。


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