君だけに夢をもう一度
テーブルの上には、サーモンマリネと、白身魚のオーブン焼きが運ばれて置かれた。
敦子は、店員に追加で野菜のリゾットと、食後にニンジンケーキを頼んだ。

敦子の勧めるまま、正和は同じものを口にした。

「ドイツは、どのへんに行っていたの? 」
敦子が、一口ワインを飲んで尋ねた。

「ローデンブルグで商品の買い付けに行ってたんだ」
「商品の買い付けって・・・・・・? 」

「今、家は洋服店の他に雑貨屋もやっているんだ」
「正和が・・・・・・?」

「あぁ・・・・・・三年前に親父が他界して、今は自分と姉が家業を継いでいるんだ」
「でも、ローデンブルグには、何を買い付けに? 」

「クリスマス商品を買い付けに行ってた。向こうには、日本にはない商品があるからね・・・・・・」

「そうだったの。でも、ドイツは素敵な所でしょうね」

「不思議なんだけど、ドイツだけじゃなくて、外国に行くと、非日常的な場所に行っている感じがして、ちょっとだけど、リフレッシュできる感じがするんだ」

「それは、言えるわね・・・・・・」
敦子も正和の話に共感した。

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