君だけに夢をもう一度
「さっき、君はプロのミュージシャンって言ってたけど、ニューヨークにはどんな仕事で行っていたの?」
「打ち合わせがあったの。来年、向こうのミュージシャン達と一緒に仕事をすることがあって、そのために行っていたの」

「仕事って・・・・・・アメリカで? 」
「ええ。半年間だけど、アメリカで仕事をするのよ」
敦子は笑顔で話した。

「いい仕事しているんだな。でも、君がミュージシャンになっていたなんて、思ってもみなかったよ」
正和は感心して言った。

「ねぇ、私達が初めて出会った時のこと憶えてる? 」
「えっ!? 」

敦子が唐突に学生時代のことを尋ねてきた。
正和はよく憶えていなかった。

「正和はサザンの『愛する女性(ひと)とのすれ違い』を演奏していたこと、憶えていない? 」
敦子の言葉に、正和も反応するように思い出した。


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