君だけに夢をもう一度
敦子は、青山学院大学に入学して、すぐに軽音楽部に入部するため部室を訪ねた。

部室の前に来ると、エレキギターの演奏が聞こえてきた。

敦子は、聞きなれたサザンの曲だと思い、ドアを少し開けて部屋の中を覗いてみた。

部室には、ひとりだけ長髪で黒のトーレナーにジーズン姿の男性がいた。
そして、サザンの『愛する女性(ひと)とのすれ違い』の前奏部分をギターで弾いていた。

「誰・・・・・・!? 」
ドア越しに人の気配に気づいた正和が尋ねた。

敦子が部室に入って来るなり一礼をした。

「軽音楽部に入部したいんですけど」
敦子が答えた。

「そう・・・・・・でも、今日は部長がいないから、また今度来てくれないかな」
正和は無愛想に答えた。

「わかりました」
と、言って敦子が部室を出ようしたが、再び、振り返ってシンセサイザーを見つけた。
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