君だけに夢をもう一度
ビルは八階建てで、店は三階にある。
二人はエレベーターに乗り込み、敦子が番号を押した。

「マスター、私達の姿を見たら驚くかな？　」
敦子が、扉上の階を示す点滅を見ながら尋ねた。

「マスターはクールだから、驚くような顔なんかしないさ。お久しぶり・・・・・・って渋い声で言うはずだ。きっと・・・・・・」

「そうね。その方がマスターらしいわね」

三階に着いた。扉が開く。

二人がエレベーターから出ると、真正面にはダーク色の扉がある。
壁には淡い緑色のネオンに黒文字で『サラ・ジェーン』と書いてある。

二人が扉の前に来ると、お互いに先に入ることを譲りあった。

「やはり、ここは男から」
と、敦子が謙遜した態度で言った。

正和が先に入ることにした。
ゆっくり扉を開けて、覗きこむように店の中を見た。

「いらっしゃいませ」
カウンターの中から、女性のバーテンダーが声をかけた。


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