君だけに夢をもう一度
正和が全日空のカウンターまで来ると敦子が待っていた。

敦子が右手を少し上げて自分の存在を示した。
敦子は、紺のスーツ姿で、今から仕事の様子だった。

「おはよう」
敦子は、昨日のことなど何も気にしていないように笑顔で挨拶をした。

正和も昨夜のことが気がかりだった。
むしろ、何事もないように振る舞おうとしている敦子の気持ちはわかっていた。

「おはよう」
正和も微笑で挨拶した。

二人はカウンター近くの待合い用の椅子に座った。

「昨夜は・・・・・・乱れちゃって・・・・・・ご免なさい」
座るなり、敦子が謙虚に正和に頭を下げて謝った。
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