君だけに夢をもう一度
「いや・・・・・・こちらこそ・・・・・・本当は、敦子の気持ちに答えて歌ってやりたかったんだけど・・・・・・」
正和も謙虚に言った。

「でも、本当に今は、あの頃みたいに声も出ない。プロの敦子には聞かせるようなものじゃなくて・・・・・・本音は恥ずかしいんだ」
正和は、素直に歌えないことを告げた。

「でも、昔はよくあの店でケンカしたな・・・・・・」
正和が懐かしそうに言った。

「そうね・・・・・・そのたび、マスターが止めに入ってくれたわね」
敦子も懐かしく答えた。

「それで、千賀子さんから、これを正和に渡して欲しいって預かってきたの」
敦子は、バックからA4サイズの封筒を取り出した。



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