君だけに夢をもう一度

「ねぇ、もう一度、私と一緒に演奏してみない？　」
思いきって敦子が正和に尋ねた。

「敦子と・・・・・・演奏を！？　」
唐突な敦子の言葉に、正和がためらうように言った。

「この歌を一緒に演奏しない？　」
敦子は、サザンの『君だけに夢をもう一度』を一緒に演奏したいと思っていた。

「この曲って、私達が一緒に練習していた曲でしょう。まだ、完璧に演奏できないまま、私達、別れたでしょう」
「そうだったな・・・・・・」

正和も敦子も、この曲が思い出深い曲だとわかっていた。

「でも、この頃みたいに歌えるかな？　プロの敦子が演奏するみたいにはいかないかもしれない」

正和は自信なさそうに言った。