君だけに夢をもう一度
「うまくは言えないけど、もう一度、自分が安心して、自分らしくいられる場所みたいなものを、私は作りたいの」

「安心できる場所・・・・・・? 」

「私、離婚して音楽を仕事にしてがんばっていこうと思ったの。でも、なかなか思うようにはいかなくて、落ち込んだりすることもあったわ。そんな時、音楽を始めた頃のことを思い出したりするの。そして、よくサザンの曲なんか演奏したりすると、なんか、また頑張ろうっていう気持ちになれるの」

「・・・・・・」

「その時、いつも思ったわ。どんな時も自分らしく生きていこうって・・・・・・それが、自分が目指す音楽を作れる道だと思ったから。正和は、どうなの? 今、自分らしく生きているの? 」

敦子が真顔で尋ねた。

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