Pure*Love―透明人間が恋をした―
ローズ
ドンッ!
「きゃっ!」
王族の大行進に気を取られていたため、ピッピは突然の衝撃にびっくりして尻餅をついてしまった。
「ごめんなさい…。
お怪我はありませんか…?」
美しい声のする方へ顔を上げると、そこには貧しい家の娘なのだろうか、自分同様、みすぼらしいドレスを着た娘がしゃがんでいた。
「手を…」
そう言って、娘は手を差し出した。
「君は…」
そう、手が見えるのだ。
しかしそれは、今までに見たことがない程美しい。
「あっ‥!」
娘はパッと手を隠し、首に巻いていたストールを深く被って顔を隠した。
そして素早く立ち上がると、深くお辞儀をして茂みの中へと消えてしまった。
「あっ…待って!」
ピッピも立ち上がり、茂みの方へ走る。
ローズピンクの体を持つ娘を求めて。