彼と彼女の方程式

「すげぇ良いアイデアだと思ったんだけどなぁ…。」


はぁ?



『それのどこが良いアイデアなのよ?』



この男の頭、どうなってんのよ…。



あたしが思ってる事が伝わったのか湊は冷たい目であたしを見上げる。





「…遥、今好きなヤツいんの?」



――…っ。


また、だ。


なんでか分からないけど、ドキッとする。

湊の瞳。




『…いや、いないけど。』


「…じゃあ、ちょうどいいじゃん?」




何が?


マジで意味わかんない。



ニヤッと笑う湊に嫌なモノを感じる。



『何がちょうどいいのよ。それに、さっき【しばらく女はいいや】みたいな事言ってたじゃない。』


「あぁ、それ却下ね。」




…なっ!!!




なんだコイツは…。
もう2年近くの付き合いになるが、いまだに掴めない所が多い。





…ってか、ただ単純に要領が良いというか、調子が良いだけなのかも…。






『…でも、そうは言っても好きな人と付き合わないと意味ないでしょ!』



ったく。


根本的な問題だっつーの。


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