彼と彼女の方程式
『でも、ファンって…言い過ぎじゃない?』
「はぁあ〜…。これだから鈍感って言われるのよ、遥は…。」
両手を持ち上げアメリカ人か?と言わんばかりの大袈裟なジェスチャーで首を振る。
あたし、そんなに鈍感じゃないと思うんだけど…。
何も言わなくなったあたしを見て、…ま、いっか。と再びあたしの前の席に座り直した。
「…で?」
『で?…って?』
毎回思うんだけど、切り替え早っ。
あたし、この彩那の切り替えの早さについていけない時がある。
真剣に聞き返すとまた溜息を吐いた。
「…真実は?別れたの?」
『あぁ。…それか。
…別れた、みたい。』
【もしかしたら湊と付き合うかも…】
うん、うん。と嬉しそうに頷く彩那に、それは言えなかった。
冗談かもしれないし…。
湊、モテるし…。