彼と彼女の方程式
「暇だったから遊びに来ちゃった。…でも、もしかしてお邪魔しちゃった?」
申し訳なさそうに眉を八の字にする。
ふわっとした感じの可愛い女の人。
年齢的にはきっとあたしよりも年上だと思う。
パーマなのか肩のあたりまで柔らかそうにふわふわしている。
くりっとした綺麗な瞳。
華奢な体。
まさに守ってあげたくなっちゃう感じ。
きっと誰もが可愛いと言うと思う。
明里と呼ばれた人はあたしの顔を見てニコッと笑う。
「湊?また違う子?」
――ズキッ…。
【また】
わかってる。
湊の付き合ってきた子はだいたい知ってる。
なのに…。
「…馬鹿、コイツはそんなんじゃねぇよ。」
――そんなんじゃない…?
あっさりと否定された。
彼女という立場を…。
「…ふ〜ん?」
意味ありげに湊を見つめている明里さん。
「…っつーか何しに来たんだよ?」
なんで?
少し、ほんの少しだけ湊の頬が赤くなった。
「へっ?何って…さっき言ったじゃん。暇だったから遊びに来た。」