彼と彼女の方程式


記憶にないんだけど…。



湊を見上げて眉を寄せて首を傾げた。


そんなあたしを見て溜息を漏らす。



「そうじゃないかとは思った…。見てないだろ、メール。」



『はっ?いつの?』


「…朝。」



…朝?


ってか、朝から彩那とずっと話してて…。



あたし…今日、一度も携帯見てない。


……。



『ちょっ、ちょっと待って!』



焦り気味にスカートのポケットから携帯を取り出した。


パカッと携帯を開くとそこには未読メールのサイン。


『…あっ。』



【話したい。教室行くから待ってて。湊】


【どこにいる?】



朝、ちゃんと気付いてたら嬉しいメールだったかもしれないのに…。


今はちっとも嬉しくない。

いや、むしろ怖い。



カシャンと湊がフェンスから離れる音がしたと同時に隣に座る気配を感じた。


―…ッ!!


あたしの肩と湊の肩がわずか触れる。



「教室行ったのにいねぇし?メールは返ってこねぇ。」



…っっいやぁ〜!!!



あたしの隣が黒いっ!!



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