彼と彼女の方程式
『あっ…あの、湊?』
なんとなく嫌な予感がして少しだけ後退る。
「俺を無視した罰。」
『…へっ?』
後退るあたしをただ座ったまま見つめる瞳。
…あぁ、こんな時にも湊を綺麗だと思ってしまう自分が憎い。
興味のなかった子でもこの瞳に魅了されてしまうと思う。
実際にあたしがそうだ。
ってか、今までよく平気だったよな…あたし。
なんて思っていたらフッと影が出来る。
……?
「…見惚れちゃった?」
『…ぎゃっ!!』
いつの間にか立ち上がりあたしの目の前まで移動していた。
たった一歩の距離くらいしか離れていなかったらしく、あっという間に湊に捕まった。
『っ…ちょっと…。湊?』
座っていたあたしの足の上に跨がって頭の両側に湊の手が置かれている。
その手にはしっかりフェンスの網が握られている。
にっ…逃げられない…。