彼と彼女の方程式
『…湊、離れて。』
「無理。」
無理じゃねぇだろ〜!!!
両手で湊の胸を押したままどうすれば良いのか頭をフル回転させようとしても頭が働いてくれない…。
どうしよう…。
ホントに離れてくれる気配がない。
―ビクッ!!
首筋に湊の手が触れた。
『っ…!!み、湊!!?』
顔を上げようとしたけど、もう片方の手で湊の肩に押し付けられてそれは不可能だった。
胸を押し返してもびくともしない。
シトラス系の爽やかな香り。
湊の香りがした。
香水なのかシャンプーの香りなのかわからない。
強い香りを嫌う湊の香りは近づいた人にしかわからないくらいほのかな香りだ。
今はそのシトラスの香りがはっきりとわかる。
それはこの状況をより鮮明にあたしに感じさせた。