彼と彼女の方程式




湊の指が少し動く度にゾクッとする。



『…ちょっと!湊っ…!!?』


「首…弱い?」


クスッと笑う湊。


『…そんな事な…っ!!』



突然、首筋に暖かい感触。



サラッとした湊の髪が触れたと思った次の瞬間…チクッとした痛みを首筋に感じた。



『っ…!!!』




まっ…まさか…!!



「はい、おしまい。」



声と同時にあたしから離れていく。



『み、湊…あんた…まさか…。』


首筋を押さえながら、立ち上がった湊を睨みつけた。


「無視した遥が悪い。それにさ…一応、俺のって印?」



はい?



【俺のって印?】って?



ちょっと嬉しかったりして…って


『…アホかッ!!
体育とかどうすんのよ!!バレるっつーの!!』



怒りMAXなあたしを笑いながら見つめる湊に更にイラッとした。



「いいじゃん。見せつけておいてよ。んで、聞かれたら素直に俺に付けられたって言ってよ。」



『…はぁ?何言ってんのよ?無理だし、そんなの。』



ホントに意味わかんない。


もしかしたら、湊の中であたしは彼女って立場かもしれない。



今は。


でも、あくまでもフリだ。


そんな事したら余計に惨めになる。



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