彼と彼女の方程式
人が真面目に話してたのに…この男。
最っ低…!!
「あっ、ごめん、ごめん。…許して。…なっ?」
機嫌が悪くなったあたしを察して、上目使いで両手を合わせて謝ってきた。
……ったく。調子いい奴。
たぶん、この仕草にやられる女の子は多いんだろうなぁ……。
自覚があるのか、ないのか…タチが悪い。
あたしにまでやらなくてもいいのに……。
『…悪いと思ってないでしょ?』
「…へっ?
…あぁ。まぁ、ね。」
まぁ、ね。って!!?
おいっ。
湊はあたしの顔を見て、へへっ、と悪戯っ子みたいに笑う。
『…はぁ、もういいよ。』
なんか、憎めないからズルイんだよね…。
「サンキュ。
…それ、でさ……。」
『…ん?何?』
「さっきの…」
……?
あたしは首を傾げて湊の言葉を待った。