アンバランスな恋心

旅行計画

「もう帰っちゃうの？」

ホテルのベッドの上で
木内光太郎が呟いた

きょとんとした目が
３０歳の男にしては
可愛い


私はスーツに袖を通すと
光太郎の顔を見た

「今日は妹と約束があるの」

「…とか、言って
他の男と会うんでしょ？」

「違うわ
今日は本当よ！
夏休みに行く旅行計画を
練るんだって」

「『今日は』…ね
嘘のときもあるわけだ」

光太郎は
私にたくさんのセフレがいるのを
知っている

知っていて
今の関係を受け入れているのだ

「楽しかったわ」

「今夜は眠れそう？」

「ええ、ぐっすりよ」

「眠れなかったら
いつでも電話していいから」

光太郎は
優しく微笑んだ

ベッドの中で
手を振ると

光太郎は煙草に手を
延ばした





光汰は煙草を吸わないわ
ってまだ成人してないから
吸わないだけかもしれないけど



似てるけど
違うのね

光汰と光太郎


私が欲しいのは

光汰だけ