アンバランスな恋心
私はリダイヤルで
相手を探した

今度は誰にしようか

適当な男が見つからない

私は左手で
携帯を握りながら

右手でレモンティを飲んだ

冷たくて
食道を通っていくのが
わかる

「もう…こいつでいっか」

私がボタンを押そうとすると
携帯がするりと手から抜けていった

「駄目だよ」

低い声に
私の心臓がドキリとした

勢いよく振り返ると
光ちゃんが怖い顔をしていた

「コンビニで買い物は?」

「もう…終わったわ」

「時間、かかるんじゃなかったの?」

「思ったほど
時間はかからなかったみたい」

「何を買ったの?」

「レモンティ」

「他には?」

「ないわ」

「わざわざ立ち寄ってまで
飲みたかったの?」

「ええ
凄く喉が渇いてたの」

光ちゃんの声が怖い

どうしたの?
なんで
そんなに怒っているの?

「レモンティを買うだけなら
僕は待てたよ」

「彼女が待てなかったかも?」

「ココだって待てる」

「そうかしら?」

「マコ姉、僕を馬鹿にしてる?」

光ちゃんが
私のとなりに座った

横顔が怖い

怒ってる

でも私
光ちゃんが怒るようなこと
してないわ
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