アンバランスな恋心

忘れられない男

私はレモンティを飲み干すと
立ちあがった

公園内を歩く

暗い夜道には慣れている

なのに
光ちゃんと会ったせいか

いつもより
寂しくて
心が苦しかった

「落ち着いた?」

公園の入り口で
光ちゃんが立っていた

温かいココアの缶を
私に差し出してくれる

私がよく飲むメーカーの
ココアだった

なんで
こんなに優しいの?

冷たくしてよ
もっと
酷い対応をしてよ

そうじゃなきゃ
私は生きていけない

必死に
光ちゃんから
離れた生活に慣れようと
してるのに

これじゃ
もっと苦しくなるだけじゃない

「ありがと」

私はココアを受け取ると
歩き始めた

「待って
こっち…」

光ちゃんは
私の手首を掴むと
反対方向に歩きだした

「車、止めてあるから」

「一人で帰らせて
お願い」

「駄目だよ
そんな泣きはらして眼で
夜道を歩かせないよ」


「…光ちゃんは
ずるいわ」

私は小声で呟いた
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