アンバランスな恋心
「昨日はごめんね」

光ちゃんが私の耳元で囁いた

私は首を横に振った

「どうして真琴は
ココと僕が付き合ってるって
思ったの?
ただの学生仲間かもしれないのに」

「聞かないで」

「聞きたいよ」

私は頭を振った

「言ってよ
僕は知りたい」

「言えない」

「言って」


光ちゃんの声は罪だ
私を心を
声だけで揺さぶるんだから

会いに行ったことは
ずっと黙っていようと思ってた

だって
格好悪いじゃない

私のほうが大人なのよ
9歳も年上なのに

光ちゃんに会いたくて
会いたくて我慢できなくて

仕事が終わってすぐに
新幹線に飛び乗って

光ちゃんのアパート先まで
行ったなんて言えないよ


「車に乗ってたから
この前、助手席に乗ってたから」

「それだけ?」

「そう、よ」

「ふうん」

光ちゃんは
私の耳たぶを噛んだ

「ん」

耳たぶを噛まれると
私は全身の力が抜ける

光ちゃんはそれを知っている

光ちゃんに噛まれたときは



それは


『抱くよ』って意味

嫌なら抵抗してよって
口にはしないけど

私が抵抗する間をつくってくれるの
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