アンバランスな恋心
「真琴?
僕、バイトだって…」

30回目のコール音で
光ちゃんが出た

「…っく
こ、光ちゃん!」

「真琴?」

「助けて、今すぐ来て
お願い!
怖いのぉ」

「何があったの?」

バイト中の光ちゃんは
小声で話している

私は大声で
光ちゃんに助けを求めた

「誰かが
ドアをガチャガチャして
無理やり開けようとしてるの

ドアもどんどん叩いて……」

「わかった
とりあえず兄貴に連絡してみるから」

光ちゃんとの電話が切れた
玄関では
まだドアを叩く音が聞こえる

私は身を縮めて
震える体を押さえた
< 80 / 109 >

この作品をシェア

pagetop