アンバランスな恋心
「ずるい」

「え?」

光ちゃんが
私の手を握りながら
顔をあげた

「私が何も知らないからって
嘘をつくんだもん」

「嘘?
ココとの関係に嘘は…」

光ちゃんが首を横に振った

「嘘をついたわ
ココさんと付き合ってた
今は友人同士かもしれないけど
付き合ってた」

「ココから聞いたの?」

光ちゃんの声が低くなった

怒っているわけじゃないけど
あまり聞かれたくなさそうな
顔をしていた

「ううん
私が見たの」

「見た?」

光ちゃんが首をかしげた

「一人がつらくて4月に
光ちゃんのアパートに行ったの
もう一回、付き合えないかな?って
付き合えなくても
光ちゃんの声が聞くだけでもいいって
そしたらココさんがアパートにいるのを
見ちゃって……」

「それからずっと付き合ってると?」

光ちゃんがソファから立ち上がった

両手でこめかみを押さえると
短い髪をかきむしった

「ごめん」

「え?」

光ちゃんが謝ってくるなんて
意外だった

「本当にごめん」

「どうして光ちゃんが
謝るの?」

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