~不思議の国のアリス~
《アリス》
倒れる少し前を思い出す。真っ白な世界で私は誰かに抱き上げられた、覚えているのはその人が何度も何度も何度も、繰り返し呼んだ《アリス》という今の私の仮の名前と、真っ赤で透き通ったガラスの様な瞳だけだ。
あの人が私を連れてきた人なのだろうか、真っ赤な、深紅の瞳。
「ここがハートの城だよ♪」
私がウジウジ考えている間に目的地に着いた様だ。そこには巨大な薔薇の迷路が広がっていた、真っ赤な薔薇の迷路。メルヘンなハートの城にマッチしている。
「大っきいわね…」
ため息が出るほど見事な迷路、ゴミ一つ無く綺麗に切り揃えられている。
「おっじゃましまぁ~すっ♪」
「えっ!!ちょっ!?」
いきなり迷路突入。まあ、城が目印になっているしそれほど難しい迷路ではなさそうだ。