アンバランスな気持ち
「光ちゃん、出ないの?」

背中から聞こえてきた声に
僕は驚いた

「ああ、出ないよ」

「お姉ちゃんなんでしょ?」

「そうみたいだね」

「光ちゃん
泣きそうな顔してる」

「泣きたいよ」

「泣いていいよ」

「嫌だよ
女の子の前では
男は泣いちゃいけないんだ」

僕は
スーちゃんに笑顔を見せる

スーちゃんはベッドから
降りると

音が止まった携帯を見つめた


「瑛ちゃんが来るって
だから
迎えが来たら私、帰るね」

「わかった
市内観光ができると
思って計画してたんだけどな」

「嘘ばっかり」

スーちゃんと目を合わせると
僕たちは笑った

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