【完】††Rising††

激しい演奏は



最後余韻を残しピタリと止まる。



ハイハットの金属音だけが今だにじりじりと響き



俺の心の残り香のような気分になった。



一番最初に口を開いたのは龍治だった。



「美恵、これで納得したか?」



ハァハァと肩で息をしながら発っせられる声。



「わ…かった。ピンチヒッターだからね!」



佐々原の言葉にクスクス笑う龍治と礼治。



「俺らは、正式メンバーに欲しいんだけどな〜。」



「「それだけはダメ!」」



俺と佐々原美恵の声がこだまする。



この時から、俺の退屈から掛け離れた日常は



ビートを刻み始めた……。
< 16 / 271 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop