【完】††Rising††
激しい演奏は
最後余韻を残しピタリと止まる。
ハイハットの金属音だけが今だにじりじりと響き
俺の心の残り香のような気分になった。
一番最初に口を開いたのは龍治だった。
「美恵、これで納得したか?」
ハァハァと肩で息をしながら発っせられる声。
「わ…かった。ピンチヒッターだからね!」
佐々原の言葉にクスクス笑う龍治と礼治。
「俺らは、正式メンバーに欲しいんだけどな〜。」
「「それだけはダメ!」」
俺と佐々原美恵の声がこだまする。
この時から、俺の退屈から掛け離れた日常は
ビートを刻み始めた……。