【完】††Rising††
「優太さん?どうしたんすか?」



『いや、篥と順平と会場まできてるから。』



どうやらSUGAR BEATのメンバーは客席にいるらしい。



ばれたら大騒動だぞ。



『暁は最終組なんだな。』



「はい、もうすぐっす。」



『そうか。電話したのは、他でもない、先輩ドラマーとして激励してやろうかとな。』



優太さんの低い大人っぽい声が耳元で響く。



『お前の演奏には表現力が足りてない。それは分かるな?』



「はい、分かってます。」



だから、あんたが羨ましくも疎ましいんだ。



『ここからは勝手なアドバイス。


表現力は、歌に自分を重ねることで自然と出てくる。


頭の中でイメージするんだ。


一つの、物語を。』



一つの…物語。
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