【完】††Rising††
龍治をおんぶしたまま控室に向かう。
そこには憎々しいと言わんばかりの雅一の顔。
相当、悔しいのだろう。
「音っつうのは、歌声だけじゃならねぇんだよ。」
そう言ってやると
「チッ!」と小さく舌打ちをして奴は出て行った。
「ハイジ、言うよね〜っ」
「…かぁっこい〜。」
美恵と礼治は俺を肘でつっついた。
「みぇ〜…ハイジを、俺にくれ。」
龍治はまだけだるげな顔だったが俺に強く抱き着く。
「ちょっ!龍治離しなさいよっ」
「い〜や!ハイジは俺の嫁。」
二人で俺を取り合うな。