【完】††Rising††
田鍋さんも双子も、びっくりした顔をしている。



「今日演奏して分かったんです。


俺のドラムは、突出して優れてなんかないってことを。


いつでも、コイツ等に食われそうだし、それが楽しいし…


俺の音は、コイツ等の為にあると思うから…だから−…。」



「そう言うと、思ったよ。」



俺の言葉を遮り、微笑んだ田鍋さん。



「君は、お父さんにそっくり…いや、それ以上だ。」



「…え?」



「暁がいつかビッグスターになるのを楽しみにしてるよ。」



それだけ言うと、去って行く小さな背中。



俺は、テントの外の遠ざかる背中が見えなくなるまでずっと頭を下げていた。
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