【完】††Rising††
肌寒い中、背中に感じる柔らかい温もり。



俺の心臓のドラムが、信じられないくらいビートを刻む。



女慣れてないわけでもないのに…



美恵は、特別違う気がするんだ。



でも、こいつに愛だの恋だの言ったってしょうがない。



バイクを30分ほど走らせながら俺の頭は考え事をしていた。



「ハイジ、そこのマンションが家だから。」



後ろから美恵の鈴のような声が聞こえる。



俺は壁が薄い桃色のマンションの前にバイクを止めた。



「ありがと、ハイジ!」



ヘルメットを手渡され受け取る。



俺に背を向け歩き出した細い後ろ姿に



「待って!」



思わず、声をかけた。
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