【完】††Rising††
俺から放たれた渇いた声。



美恵は元々大きな瞳を更に大きく丸くして



「なんで、そう思ったの?」



と、静かに聞き返した。



「お前、龍治が歌ったとき、泣いただろ?あの涙は、感動じゃないと感じたから。」



「あんたって、変なとこで鋭いよね…。」



苦笑いする美恵。



やっぱり、そうなんだ…。



妙に胸がじくじく痛むのは多分気のせい。



「お前が嫌じゃなかったら、俺に全部話してみたら?」



出来るだけ、優しく優しく言ってみた。



美恵は、言葉のカケラを探すように



ぽつり、ぽつりと呟いた。
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