【完】††Rising††
奴が舞台に立った瞬間



観客の、割れんばかりの悲鳴にも似た歓声。



俺らが出たときとは全く別格だ。



当たり前のことだが、なんか悔しい。



横を見ると舞台上を悔しそうに見つめる龍治。



いつか、俺らもああいう風になろうな。



俺は再び舞台に目を戻す。



そして、一音も聴き逃さぬよう、耳に集中した。



始まったKのリズム。



乗るように入ってくるQのギターとJのベース。



そして…



SUGAR BEATの名前の由来になったであろう



Jの、甘く、力強い歌声。



龍治の歌声にはない、重たい歌声に



体の芯が、揺らされた。
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