気まぐれお嬢様にご用心☆
第二章 嫌いの所以
『男嫌い』……か。俺も『女嫌い』になりそうだぜ。
そもそも俺や楓がなんとかしたくたって、当の本人に直す気がなければなぁ……どうにもならんと思うけど。
同じ姉妹でも楓はなんとも無いのに、何故『翼』だけ……?
何かあるな、こりゃ。
そんなことを考えながらやっと『仮』の姿から解放され、私服に着替える。
……この恰好(男)じゃ安易に外出もできないよな、これからは。
学校行く時以外でこの恰好するのはまっぴら御免だぜ。
こうなったらなるべく外出は避けよう……。そうした方が御身のためただな、うん。
男だとバレないように生きるのも楽じゃねぇよな~こんなんで三年間もつのか不安になってきたぜ。
ダメだ!こんな弱気でどうする!!頑張れ!!俺っ!!
「千晶様こんなとこで何なさっているのですか?」
自分の部屋から出たところすぐの廊下で一人で気合いを入れて小さくガッツポーズをしていたのを見られていたらしい。
「あ、いやその……」
咄嗟に千晶は拳を隠した。
「どうですか?新しい生活は。少しは慣れましたか?」
そうだ!榊さんなら何かあの二人のこと知っているかも。
「はい……あの~榊さん、ちょっと聞きたいことがあるんですが」
「なんでございましょう」
「翼の男嫌いってのはいつからなんですか?」
こんなこと聞いていいのか迷ったが今はこれが一番早い気がしていた。
「千晶様もそのことをご存じでしたか。翼様は楓様と違ってとても繊細な性格でございまして、きっかけは一年前の夏、奥様であられる遥(はるか)様死でございました」
「遥おばさんが亡くなった……?」
千晶は意外な展開に戸惑った。
おばさんはお袋の姉にあたる。会ったことはないが話だけは聞いたことがあった。
「はい。遥様は夫の輝(あきら)様の『不倫』が原因で自殺してしまわれたのです」
―自殺……。
「その遺体の第一発見者が翼様なのでございます。以来、そのショックから翼様は心を閉ざしがちになり、輝様の遥様を裏切った行為を許せないと、『男性』を嫌うようになってしまわれたのです」
「そんな経緯があったのか」
榊は昔のことを思い出し少しだけ涙ぐむ。
そもそも俺や楓がなんとかしたくたって、当の本人に直す気がなければなぁ……どうにもならんと思うけど。
同じ姉妹でも楓はなんとも無いのに、何故『翼』だけ……?
何かあるな、こりゃ。
そんなことを考えながらやっと『仮』の姿から解放され、私服に着替える。
……この恰好(男)じゃ安易に外出もできないよな、これからは。
学校行く時以外でこの恰好するのはまっぴら御免だぜ。
こうなったらなるべく外出は避けよう……。そうした方が御身のためただな、うん。
男だとバレないように生きるのも楽じゃねぇよな~こんなんで三年間もつのか不安になってきたぜ。
ダメだ!こんな弱気でどうする!!頑張れ!!俺っ!!
「千晶様こんなとこで何なさっているのですか?」
自分の部屋から出たところすぐの廊下で一人で気合いを入れて小さくガッツポーズをしていたのを見られていたらしい。
「あ、いやその……」
咄嗟に千晶は拳を隠した。
「どうですか?新しい生活は。少しは慣れましたか?」
そうだ!榊さんなら何かあの二人のこと知っているかも。
「はい……あの~榊さん、ちょっと聞きたいことがあるんですが」
「なんでございましょう」
「翼の男嫌いってのはいつからなんですか?」
こんなこと聞いていいのか迷ったが今はこれが一番早い気がしていた。
「千晶様もそのことをご存じでしたか。翼様は楓様と違ってとても繊細な性格でございまして、きっかけは一年前の夏、奥様であられる遥(はるか)様死でございました」
「遥おばさんが亡くなった……?」
千晶は意外な展開に戸惑った。
おばさんはお袋の姉にあたる。会ったことはないが話だけは聞いたことがあった。
「はい。遥様は夫の輝(あきら)様の『不倫』が原因で自殺してしまわれたのです」
―自殺……。
「その遺体の第一発見者が翼様なのでございます。以来、そのショックから翼様は心を閉ざしがちになり、輝様の遥様を裏切った行為を許せないと、『男性』を嫌うようになってしまわれたのです」
「そんな経緯があったのか」
榊は昔のことを思い出し少しだけ涙ぐむ。